今月の特集 船で見る境港の漁業 その3 ”かけまわし底引き船”
今月の特集
船で見る境港の漁業 その3
”かけまわし底引き船”
底引き網
底引き網は、ロープの先に付けた網で、海底近くの魚を引くよう(こちらでは「漕ぐ」といいます)にしてカニ、エビ、カレイなどを漁獲します。
山陰では、鳥取県東部から兵庫県北部でこの漁法が盛んです。
島根県では、2隻の底引き船が一組の「2艘引き」と呼ばれる漁法が盛んです。
底引き船の種類
底引き船で用いられる船形的には、大きく分けて2種類あります。
船橋が船首側近くにある、「おもてブリッチ型」と、船橋が船体中央付近にあり、その下がトンネルの構造の「トンネル型」と、2つに分けられると思います。
写真上は、「おもてブリッチ型」で写真下は、「トンネル型」です。
どちらも、揚網作業スペースを効率よく確保するための工夫です。
ちなみに写真に写って居る船橋に引かれた2本赤い線は鳥取県の底引き船をあらわし、兵庫県の底引き船は青の2本線になります。
写真のロープを巻いたリール類はすべて油圧で動きます。人手では大変な力仕事の多くは油圧機器が活躍しています。
機関室装備された油圧ポンプで高圧のハイドロ油を作り、配管で操作弁に供給され油圧モータでリール等を回す力に変えています、油圧モータを回し終えたハイドロ油は冷やされタンクに戻ります。この行程(サイクル)が繰り返されます。
漁船では、多くの油圧機器が使用され乗組員さんの省力化に貢献しています。
(トンネルと航海計器アンテナ群)
底引き網漁では、同じ漁場で僚船と「雑巾掛け」のようにすぐとなりを少し遅れて引いていく事があるので、レーダー等で僚船との正確な距離を監視する必要があります。
最近の底引き船では、漁場を正確に管理するための航法機器類や潮流方向や漕ぎ時低速の船速を管理する超音波式潮流計、レーダーをプロッタで管理するレーダープロッタなどハイテク機器が装備されています。
このデータを有効にするために必要な方位信号に、従来のジャイロコンパスに変わり、GPSを利用したサテライトコンパスが人気を集めています。
写真ではそのアンテナ群の設置状況をあらわしています。
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